京大生ケミストのつぶやき

理系京大生が勉強中に思ったことを気軽につぶやきます。

微分積分学 手段としての陰関数定理

 今回は陰関数定理です。僕は数学者が考えるような複雑な概念は理解できなくて、今回の定理についても数学的背景を完璧に理解しているわけではありません。よってここではタイトルにあるように手段としての陰関数定理を述べようと思っています。使い方だけがわかればいいよ!みたいな人向けです。そこを妥協できればただの作業ですから、肩の荷を下ろして一緒に見ていきましょう。

陰関数定理って?

 陰関数定理自体は、ある条件を満たす陰関数(ex. F(x, y) = 0)は陽関数(ex. y = f(x))で表すことができるというものです。僕みたいな工学部の人間で数学を詳しいところまでつめてやらない人にとっては、関数の条件を与えられて「条件を満たす関数f(x) が存在することを証明しろ」みたいな形で目にすることがほとんどだと思います。

陰関数定理の問題を解く手順

例題と一緒に手順を見ていきましょう。

1. 示したい関数を文字でおく

 まずは存在を示したい関数を文字でおきます。今回はy=f(x) とおいてみましょう。

2. 新たな関数Fを設定

 次に新しく関数Fを設定します。変数は区別しておきましょう。今回の場合では、もともとある変数がx で新しく導入した変数はy ですね。F(x, y) からf_1(x, y)への関数、F(x, y) = (f_1(x, y))とします。ただしf_1(x, y)=y-cos(y)+x^2+2e^xです。f_1(x, y) って何!?って思うと思いますが、まず下付きで番号を振ったのは便宜上この方が一般的に語りやすいだけで、今回の場合は特に意味はありません。次にf_1(x, y)=y-cos(y)+x^2+2e^xとしたのは、条件式として与えられている式を用いて、今考えたい近傍の点で0 になるようにします。今はx=0(このときf(0)=0よりy=0)近傍での話なので、 (x, y)=(0, 0)f_1(x, y)=0になるように定めるわけです。まだ少しわからない人も他の例題を通していくうちにわかってくると思うのでとりあえず先に進みましょう。

3.Fのヤコビ行列みたいな行列をつくる

 ヤコビ行列みたいな行列なんて数学者に聞かれたら怒られそうな表現ですが許してください。どんな行列かというと、Fを新たに導入した変数で偏微分していきます。今回は(\frac{\partial f_1}{\partial y}\left(x,y\right))だけで行列って感じがしないですが、他の例題だと何を言っているのかもう少しわかると思います。一旦進みましょう。

4.f_n: C^\infty級 F(0)=0行列式≠0を言う

 陰関数定理に必要な事柄を述べていきましょう。もう一度言いますが、なんでこれらの条件を言うと関数の存在が示せるのかは自分はわかっていません。ただ問題を解くうちに気づいたことをまとめているだけです。さて、f_1: C^\infty級 は明らかでいいですね。 F(0, 0)=(f_1(0, 0))=0もすぐ言えます(これが満たされるようにf_nを設定したわけです)。ヤコビ行列みたいな行列の行列式も計算してそれが考えている点(今は (0, 0))で0でないことを言います。

5.陰関数定理より...

 これらをもって陰関数定理がいえますので、よってf(x)の存在が証明されました。これで1つ目の問題は解決です。

6.さらに言えること

 2つ目の問題にいきましょう。3.でつくったヤコビ行列みたいな行列をAとしましょう。また別の行列をつくります。AがFを新たに導入した偏変数で微分したものの行列だったものに対して、BをFを元の変数で偏微分したものの行列とします。今回は B=(\frac{\partial f_1}{\partial x}\left(x, y\right))です。さらに新たに導入した変数を元の変数で偏微分したものの行列をC(= (\frac{\partial y}{\partial x}))とすると、C=-A^{-1}Bが成り立ちます。これで2つ目の問題が解けます。問題がシンプルなせいで逆に何をここでやっているのかわかりずらいとは思うのですが、他の例題を通してより理解を深めましょう。

問1の解答

 厳密な解答ではないかもしれないですが、一応。

 次の例題です。訂正があって u=2x+sinyです。

1. 示したい関数を文字でおく

 今回はすでに問題内で定められていますね。x=f(u,v), y=g(u,v)です。

2. 新たな関数Fを設定

 今回はF(u,v,x,y)=(f_1(u,v,x,y),f_2(u,v,x,y))とし、f_1(u,v,x,y)=2x+siny-u, f_2(u,v,x,y)=y+e^\infty -1-vとします。とりあえず(u,v)=(0,0)F(0,0,0,0)=(0,0)となるように定めましょう。

3.Fのヤコビ行列みたいな行列をつくる

 ここで作りたい行列AはFを新たに導入した偏変数で微分したものでした。今回の場合、A=\begin{pmatrix} \frac{\partial f_1}{\partial x} \frac{\partial f_1}{\partial y}\\\frac{\partial f_2}{\partial x} \frac{\partial f_2}{\partial y}\end{pmatrix}です。なんとなく言ってたことがわかりましたかね。

4.f_n: C^\infty級 F(0)=0行列式≠0を言う

 ここはただ計算してください。

5.陰関数定理より...

 1つ目の題意はまず示せました。

6.さらに言えること

 次に行列B(Fを元の変数で偏微分したものの行列)を求めて、行列C(新たに導入した変数を元の変数で偏微分したものの行列)を求めます。B=\begin{pmatrix} \frac{\partial f_1}{\partial u} \frac{\partial f_1}{\partial v}\\\frac{\partial f_2}{\partial u} \frac{\partial f_2}{\partial v}\end{pmatrix}で、C=\begin{pmatrix} \frac{\partial x}{\partial u} \frac{\partial x}{\partial v}\\\frac{\partial y}{\partial u} \frac{\partial y}{\partial v}\end{pmatrix}==\begin{pmatrix} \frac{\partial f}{\partial u} \frac{\partial f}{\partial v}\\\frac{\partial g}{\partial u} \frac{\partial g}{\partial v}\end{pmatrix}です。C=-A^{-1}Bより2つ目の問題も計算して終わりです。

問2の解答

 解答は以下の通りです。f_1(u,v,x,y)=u-2x-siny, f_2(u,v,x,y)=v-y-e^\infty +1とおいて解答をつくってしまいましたが、結局は同じです。

 最後の例題です。またまた訂正です。2.では f'(1), g'(1)を求めてください。

問3の解答

 解答のみです。

さいごに

 今回は工学部生としてあまり数学的に言及しない程度に陰関数定理の使い方についてみてみました。問題を解いていくうちにアルゴリズムみたいなものを掴めると思います。微積分学って難しいですよね。

 数式をたくさん書くことに慣れていなくて自分で見つけられた以外にもミスがあるかもしれませんが、あったら教えてください。

では^^